『戦国伝』
 戦国世界には、「異国武者」と呼ばれる頑駄無達がいる。
 代表的なのは、武神頑駄無・義夜雲・荒烈駆主頑駄無・薔薇頑駄無・真紅主頑駄無・冒流刀頑駄無・輝龍頑駄無。
かれらは天宮の国以外の出身者であり、それぞれ何らかの都合で天宮へとやって来た。つまり、外人である。
 そもそも「異国」とは何か?
 異国=異なる国。航行技術が発達していない時代において、世界とは自分達が住む場所こそ全てであり、それ以外の土地は無いと信じられていた。
 それがある日、自分達の住む以外の場所、はるか海の向こうに国がある事が判明された。違う言葉・武術・風習、それらは衝撃的な事であったのは世界各国の歴史が物語っている。
 つまり異国とは、「自分達の住む場所とは異なる文化をもつ者の住む国」である。天宮の国出身者である荒烈駆主も、天下統一編では未来人であるので結果として異国武者の分類である。
「天下統一編」で登場した武神頑駄無。天宮を日本と考えた場合、彼は服装・武具の種類から見て武術スタイルは騎馬民族のものである。その為出身は中国ないしモンゴルに相当する地方出身者の武者と考えられ、後に登場する影舞乱夢近辺の出であると推測される
 彼が登場したのは、暗黒軍団と戦い始めた時、初代頑駄無大将軍の時代であり、頑駄無七人衆らが生まれるずっと前である。その頃は大砲をわざわざ自分で背負ったり、伝説の武具とよばれる物に頼っていた。(かろうじて暗黒軍団がビグザムや片手銃を所有していたが、それでも性能は悪い。良い性能の物は、一部の上級武者 しか持っておらず、それでも少ない)
 その中で武神頑駄無は人々から「武神の弓」と称されるボーガンを所有している。
 これは大変高度な技術を持って製造されており、当時の天宮の国では製造不可能であっただろう。そして、身体のあちこちにある鬼神の紋章。
 母国での本名は別にあるのだろうが、他国の言葉ゆえ発音は難しく
(文明開化前までの日本語ではフィやファという発音は無い)天宮語として武神と名乗っていたようである。
 さて、ここに義夜雲という一人の異国武者がいる。彼は武神頑駄無が登場した「天下統一編」から十数年後の「風林火山編」の武者である。
 この頃の戦は機械技術もばんばん取り入れ、天地城など高度な機械技術が戦に投入されている。
 義夜雲の武術スタイルを見た所、どうやら彼の出身地は武神と別の国であるようだ。
 では、彼はどこの国の生まれだろうか?
 これは、もう少し先にご説明しよう。

「地上最強編」 これは、天宮の国とそれ以外の頑駄無達のストーリーである。
 白竜・青龍・赤龍は中国地方、阿修羅・仁王・不知火はインド地方にそれぞれ該当する地域の頑駄無であり、彼らは天宮人にとって異国武者であるが、逆に白龍・阿修羅にとっては天宮人が異国武者である。
 第四章にて「黒守暴穏島を中心に三つの国は交流を深めた」とある。その島から伸びる三本の道によって、天宮の国は影舞乱夢・赤流火穏との交易をはじめ、後の時代に登場する闘派五人衆の一人、青龍頑駄無の甥・輝龍や、阿修羅の娘・農鈴が訪れるようになった。


「七人の超将軍」では、世界各国の頑駄無が当たり前のように集まり、当たり前のように生活している。
 さて、ここまでに何人の異国武者の名を上げただろうか?武神・義夜雲・薔薇・真紅主・冒流刀・荒烈駆主・白龍・青龍・赤龍・阿修羅・仁王・不知火・輝龍・農鈴。
 彼らは皆「異国武者」である。しかし、彼らの中に只一人、「異国武者の中の異国武者」が存在する。
 それは、影舞乱夢・義勇軍頭目「赤龍頑駄無」である。
 地上最強編において、彼の経歴は一切の謎につつまれていると公式発表がある。「出身地不明」つまり、影舞乱夢以外の生まれであるという事だ。
 彼はどこから来たのか、それを証明する事実は今まで謎に包まれていた。
 だが、彼の過去を証明するたった一つの事実が、実は存在していた。
 それは彼が、スダ・ドアカワールドに存在する大国、ブリティス王国円卓の騎士の一人、麗紅騎士レッドウォーリアと顔見知りであるという事だ。
「SDガンダム大百科」の元祖SDガンダム項目85ページ。「外伝と関係ないや」と飛ばされる欄だが侮るなかれ、しっかりと外伝や武者の事実が掲載されている。
 ここに「紅武者」と書きレッドウォーリアと読む武者がいる。紅武者とは、麗騎士レッドウォーリアが戦国時代に遊びに行って赤龍頑駄無の鎧を着たらかっこよかったので、名前を付けてもらったのだ。
「麗騎士」とは、レッドウォーリアが円卓の騎士就任前の呼称である。つまり、地上最強編はスダ・ドアカワールド では「円卓の騎士」編とほぼ同時期に起こった出来事である確立が立つ。

『外伝』
 地理的・風習的に判断し、ヨーロッパ的地方の物語である。
 彼らの国をスダ・ドアカワールドと称するのは、ガンダム世界では生命誕生の舞台はスダ・ドアカであり、ワールド(世界)の中心・始まりという意味だからだろう。生物学的観点や大陸移動説等を踏まえても、完全に孤立した島国を基点に生命体が世界各地に広まったという見方は出来ない。
 ヨーロッパの地理を見れば分かると思うが、ヨーロッパはインド・中国と地続きである。ので、キャラバンといった徒歩による交流が存在していた筈、島国で孤立していた日本と違い文化の発展は日本より『当初は』進んでいた。
 外伝には「辺境」と呼ばれる地方が多々ある。これは別に、田舎だとかそういう意味では無い。世界各国の地理概念からの事である。
 しかし、ダバード王国が「辺境」と呼ばれるのはまた別の意味がある。
 ダバード王国は機兵作りの盛んな国である。これは以前述べた「機兵起源」でご説明しているとおり、聖機兵によって発展した国である。
 だが、ダバード王国が「聖機兵があるから」という理由だけで機兵国家となったとは考え難い。
 ブリティス王国へやって来た灼熱騎士F91。彼は機兵の存在を知らなかった。という事は、ブリティス王国に機兵は存在しないという事が分かる。
 そもそも、「機械技術」そのものはどうやって出来たのか?それはダバード王国が「貿易」を行っている可能性がある。
 機械技術は持っているだけでは宝の持ち腐れ。技術・あるいは機械を売る事も大切なのである。
 ご存知のとおり、天宮には「さるまね」という伝統芸がある。長い間に培われた技術をその独特の知識と発想により、高度な精密機械を生産する、機械技師にとって美味しい存在であった。
 スダ・ドアカでは伝説の巨人だの、聖杯・聖剣といった神の作りし神具や伝説がごろごろしている。そして、神自身が直接関与し、代理戦争まで行っている。これはスダ・ドアカが「神」をあがめる風習であり、しかも国土が広く、一国が戦争しても他国は平和だからなのである。実際、ザビロニアがブリティスを七年間支配してもダバードは平和だったし、ルーンレックスが世界を原始の姿に戻そうとしても、ブリティスでは何の影響も起きていない。
 天宮には、それが無いのだ。「神を信じない」というわけでは無いが、以前述べたとうり、天宮は島国である。よって、海の向こうからこなければ他国との交易は一切無く、島国内部での自給自足を余儀なくされる。
 文化も遠い過去にやって来た祖先の国の風習をアレンジした物。ましてや領土や国・村が狭い中で密接し、一国が戦となれば連鎖式で他国にも戦が広まり、しかも頻繁に起こっていた。
(大将軍とたたえられる頑駄無が、神・水晶鳳凰の姿を象った鎧を身につけているのは、神より与えられた神の一部・クリスタル(ここの神は水晶で出来ている)を、神の姿を模した鎧につけ加護を受けているという意味がある。(血縁関係は初代と二代目が親子で、三代目は初代の実の甥で四代目は孤児。新生大将軍と飛駆鳥大将軍に武威凰大将軍は父・子・孫で初代らとは全くの他人)
 また、神々との恩恵の象徴である武具も極端に数が少なく、スダ・ドアカでは一般化している魔法
(この場合法術)も、使用目的が限られているので使い勝手が悪い。スダ・ドアカの魔法とは神がかりな面があり、中には神との契約によって行う物も存在する。強大な魔法を使うには、それに見合った神・聖霊の事を理解しなければならない。しかし、戦国伝の「法術」は「呪文さえ正しく唱えれば誰でも使える」程度の術が殆ど(そうでない物は専門の邪術師や幻惑師がいる)戦術の合間に覚える法術も魔法よりは威力が低く、それらを弓や札といった増幅装置や媒体を使い効果を増している。
 極端に言ってしまえば、スダ・ドアカでは城壊すのにわざわざ苦労をしながら時間をかけて、穴があく程度の火力を持った爆弾を作るより、強弱のコントロールの着く火炎系魔法で跡形も無く消し飛ばしてしまえばいい。
だが、天宮では法術を使える人物が極端に少ない上に威力がいまいちで、態々爆弾を作らねばならない。もしも、期間を3年と定めた場合、長い修行を重ねて初歩の法術を覚えるより、肉体を使う武術を覚えた方が効率がいいのだ。

 異国の技術を取り入らねば生き残れない。これが、「さるまね」の誕生である。
 聖機兵から得た「機械技術」をダバードから手に入れた天宮は、それを自分達が使いやすいように改良した。これにより、天宮はスダ・ドアカよりも格段のスピードで「神の力を必要としない機械技術」を確定していったと推測される。爆流頑駄無のからくり一門の技術についても、彼らがカラクリ技術に興味を持った経緯が、過去(天下統一編)から続く技術からの応用である。その元となった技術は何処から来たか?海外である。

 機械技術を持つダバード王国が、天宮に目を向けない筈が無い。独自に天宮の国へと貿易を始めたのは火を見るよりも明らかだ。
 風林火山編の義夜雲。彼は戦術スタイルからしてスダ・ドアカの出身者である。おそらくは、ダバードもしくは他国経由で天宮の国に渡ってきたのだろう。
 ダバードが辺境と呼ばれるのは、聖機兵物語以前のスダ・ドアカワールドは魔法を主体とした国家形成が主であり、機械技術そのものにはあまり関心や実用性が乏しく、また伝説の地と称されるスダ・ドアカの中心地・ラクロアやアルガスから遠くに位置している為と考えられる。
 機兵テクノロジーが確定した聖機兵物語以後、スダ・ドアカ各地に機械は広まっていき、同時に世界に対する天宮の国際的評価も高まり、貿易・交流も世界単位で広がっていくのが打倒である。


『コマンド戦記
 戦記に関係する、外伝と戦国伝の関係説明は恐ろしく短い。
 この説明に必要なのは、GアームズのガンセイヴァーZと海賊騎士キャプテンレッド。
 まず、キャプテンレッド。彼は公式に円卓の騎士麗紅騎士レッドウォーリアや吟遊騎士レッドウォーリアRらレッドウォーリア一族の末裔である。この事から、惑星自体に共通点は無いとしても、時限として戦記と外伝は繋がっていると判断できる。
 ガンセイヴァーZ。彼は運命の悪戯か神のお導きかで、「過去」である戦国の時代にタイムスリップ(BB戦士の付録漫画・および公式設定・プレイステーションソフトより)している事から、戦国伝にとって戦記は未来の世界であるというのが証明できる。
 戦国伝にとって戦記は未来の話であり、戦記にとって外伝は過去の話である。
 上記で書いた、外伝と戦国伝に関する長々しい説明も、この短い文を説明すれば不要だったかも知れない……