力=闘士・戦士
技=剣士・騎士
魔法=僧侶・術士

 以上三種属各二つ計六つが、スダ・ドアカに存在するすべての称号の基本である。
 そのうち、力と技の前称号・闘士と剣士に代表される称号は主に「一定の主君に仕えない傭兵や小規模の組織に参加する人物などが、個人で技術の鍛錬を積み独自に名乗る。もしくはまだ経験不足で半人前か、所属する団体において高位の場所に位置していない」者が名乗っている。
 そして後称号である騎士と戦士は主に「特定の主君や大きな組織団体に属し、主君ないし賢者・騎士団長などから確かな称号として受け取り、高位の職につく・ついていた」者が名乗っている。
 簡単に言えば、前者は誰でもなれる。しかし、後者は必ず「誰か」に一度は仕えなければならない。
例えて言うならば…

剣士』F90ジュニアと『騎士』ジェリド
 剣士F90ジュニアは兄弟と共に修行しある程度の実力をつけたので、自身の習得した『技』の技術にならい、剣士と名乗っている。
 騎士ジェリドはラナール領主ガルマに仕える騎士である。ガルマは帝王グレートデギンの命によって赴任してきた領主であり、皇子がまだ生き延びている可能性があった為、彼を守る兵士達もザビロニア帝国の者でなくてはならなかった。よって、ジェリドがガルマの館に配属されているという事は、ガルマを通し「王」たるグレートデギンから騎士へ任命されているという事に他ならない。

闘士』Gディテクターと『戦士』クランプ
 闘士Gディテクターはソドンの村の青年であったが、自分の村にかってに要塞を築いた事を恨み、自ら戦いに赴いた。しかし、立場的には彼はブリティス軍に義勇兵として参加した一般市民なので、闘士というのはただの呼称である。
 戦士クランプは人間種である。しかし、その実力は(人間の)闘士よりも強く、闘士やモンスターを部下として総括できる能力の持ち主である。たしかに、正式な軍人に闘士は存在するが、部下を指揮する立場の物が部下と同じでは威厳が無いので、闘士よりも上の位である戦士の称号をうけた。(一般の軍隊で准将から中将へ上がるような事)



魔法に属する基本称号、僧侶と術士
 僧侶・術士が魔法系の基礎称号だが、これは闘士や剣士といった称号とは違った意味を持つ。
 まず、僧侶は神に仕える者、術士は軍隊に属する者という意味がある。
 僧侶という言葉は、神道への修行者を差す意味の一つであり、神の御心を信じ、神にすべてを捧げる心をもつ者なら誰でも名乗る事が可能。すべての神職者達が最初に受ける称号である。
 主な僧侶系の称号に、導士・僧正がある。
 僧侶系が一般的に使う魔法とは、回復系といった「生命を生かす」呪文が主となる。これは、僧侶系が本来神殿や祠などに仕える祭司の役割をもち、宗教の規律上、不浄な殺生を固く禁じているからである。よって、まっとうに僧侶系を修行すれば、俗に白魔法・神聖魔法といった、殺傷能力ゼロ、非軍事的魔法オンリーの習得となる。
 円卓の騎士編に限定すれば、上記の主な称号保持者は『僧侶F90ジュニア』『導士ジムトレーナー』『僧正ガンタンクR』があげられる。
 まず、修行を始めたばかりの初心者が『僧侶』となり、基礎を習得し人のふみ行うべき正しい道・道徳の筋道を学んだ者が『導士』となり、やがては宗教団体の最高位に属する『僧正』(僧官の最上級。大僧正・僧正・権(ごん)僧正の三つがある)となる。
「完全保存版SDガンダム外伝騎士ガンダム〜円卓の騎士編〜」の説明欄で、『ガンタンクRは以前僧侶となのっていたが、パワーアップして僧正となった』とある。これは彼が七年間ソドンの町でひっそりと暮らし、皇騎士の陣営に加わったから僧正へとなった訳ではない。彼は昔、きちんと修行僧から始め、修錬を積み上級称号である僧正の位を与えられたのだ。
 導士ジムトレーナーはまだ僧侶から昇格した身である。しかし、かつて導士であっただろうダギ・イルスはザビロニアに身を投じた際『邪導士』(聖職者でありながら悪の道に走った者)となったが、師匠の説得により改心し、徳導士となった。(悪の導士の中に悪導士α=アージルがいる。これは非行に走った導士と違い、最初から悪導士へとなるべく修行した僧侶である。何か違うかというと、導士は元々生命を慈しみ、生かす立場である。しかし、この立場を『別の視点』から見たのが悪導士。つまり、傷ついた者を回復魔法などで癒すのに対し、反魂の法などで生命を生かす者。それが悪導士である)
 僧侶F90ジュニアも本来は導士へと昇格してもいいのだが、彼は兄弟と「ザビロニアから祖国を守る」為修行していたので、肝心な「神の教え」をあまり学んでおらず、どちらかというと攻撃魔法を重点的に学んだので、円卓の騎士就任後は術士系の一つである「法術士」となった。



僧侶に対する称号・術士
 術士系の主な称号は、魔術士・呪術士・法術士・召喚術士。
 僧侶系が生命を癒す存在であるのに対し、術士系は「生命を傷つける」存在である。
 術士系の称号を持つものは、館の守備隊や騎士団の分隊の一つなどに数え上げられ、フリーで活動していない限り、何らかの組織・団体に所属している。
 これは、術士系という存在が僧侶系と違い、回復系でなく攻撃系を重点的に習得しているからである。
 呪いなどで精神を病む呪術士。純粋に攻撃魔法のみを覚える軍隊お抱えの術士が法術士(法律に従い、法を守るために存在する術士)。聖霊・精霊を使役する召喚術士(略して召喚士)。
 全て、軍隊を構成する際主戦力の一つとして重宝されている。これら術士系の魔法は、僧侶という系統化された称号と違い、覚える魔法によって様々に分裂する。黒魔法を覚えたなら黒魔術士、召喚術を重点的に覚えたなら召喚術士、精霊魔法なら精霊術士などなど。
 これからも術士系は無限に広まっていき、そして、中には古代魔法という忘れ去られた術も存在する。



法術・黒魔術・邪術の境界線
 魔法呪文の一種に「法術」が存在する。この法術だが、名前だけなら「法術をつかうから法術士」と思われるだろう。この法術の代表的な呪文に「ギガソーラ」がある。このギガソーラ、空気中に閃球を発生させ、電撃を敵に撒き散らす呪文である。
 何か変では無いだろうか?
 白魔法・精霊魔法・召喚魔法・神霊魔法とは、大自然の気、精霊の力、善神の力など、善に位置する者達の力を借りた魔法。
 邪術は、悪神の力を使う神霊魔法。
 呪術は、相手の精神を支配する白魔法のアンチテーゼ(原点は一緒だが、それを別の視点での見方をした場合)
 召喚魔法(精霊魔法含む)は、ある特定の存在を現実世界に呼び出す。(精霊魔法と召喚魔法は本来同一の魔法だが、対象となる存在が大自然の精霊と異次元や魔界といった存在なので蔑視されている)
 そして法術とは、攻撃魔法である。
 世間一般的に「黒魔法」とは二つに分類される。前者は、呪術・邪術といった生贄や人形(藁人形・神代)を寄代として儀式を用い悪魔とよばれる存在等を召喚したり、特定の人物を呪ったり、精神世界から干渉し精神を支配・破壊する魔法。(例・闇騎士に「父と弟を殺された」という偽の記憶と憎悪を植え付る)
 後者は、悪の力を司る神から特定の力を借りたり、大自然の地水火風の現象を使い特定の物体を破壊する。
 ここでおかしい事が発生する。
 黒魔法内で、前者の「生贄や寄り代を用いて、崇拝する悪魔を呼び出す」とは悪神に対する召喚術であり「生命体の精神に干渉し支配・破壊する」のは呪術である。
 後者で、悪神の力を借りるのは邪術であり、「地水火風の現象を使い特定の物体を破壊する」とは、そう、法術なのである。
 円卓の騎士編に「黒魔道士クエス」という少女がいる。彼女は人間族としては高い魔力を有しているが、全種族的には低い能力者である。そして彼女の「黒魔術士」という称号は、術士系としては下位に属するというのだ。
 術士系の一つ、白魔法が系統化して僧侶系となり消滅したのは僧侶系となる再の徹底的な系統化が原因である。
 物事にも言葉にも反対する存在がある。父―母 兄―姉 会う―別れる 勝つ―負ける
 魔法も同様であるが、根本的な反属性は以下しかない。

邪術神霊魔法
白魔法黒魔法

 中立として召喚魔法が存在するが(召喚魔法は呼び出す人物の都合により左右されている為、善神・悪神それに僧侶系との区別がついていない。シルフと呼ばれる、召喚者に活力を与える僧侶系の召喚魔法もあればスピリッツガイストという攻撃的な召喚魔法も在る)、術士系には本来この四つの魔法しか存在していなかった、という事になる。
 魔法が四つしか存在していない、という事は、残りの魔法はどこから来たのだろうか?
 答えはただ一つ、『黒魔法が白魔術士同様に系統化した』からなのだ。
 つまり、黒魔法内での『生命体の精神に干渉し支配・破壊する』部分が呪術(精神を呪う魔法)となり、『悪神の力を借りる』部分が邪術(悪神の力を借りる魔法)、最後に残る『地水火風の現象を使い特定の物体を破壊する』部分が法術となったのだ。(邪術は本来、悪神の力を借りる神霊魔法なので黒魔術では無いが、スダ・ドアカでは善神こそが正しき者の崇拝対象なので、平和を脅かす悪神の魔法は神聖魔法から追放されている)
 白魔術は徹底的な系統化で消滅したが、黒魔法に関しては術士系の「自身が持つ魔力の方向性」によって区別される為、邪術とも呪術とも法術でも取れない未熟で中途半端な人物が「黒魔道士」という称号を保持する為かろうじて称号として残っているのだ。
 邪術が悪神の力を借りる魔法、呪術が精神を操る・呪う魔法ならば、法術という魔法の名は何処から来たのだろうか?
 法術士の「法」とは、

T裁判の基準。おきて。「司法・法官・法務・法曹・法廷・法服」
U社会生活上の規範。規範を定めた条文。「法の定めるところによる」「法律・法令・法典・法規・法文・法制・法案・法理・法治・法度(はつと)・旧法・悪法・国法・六法・民法・憲法・適法・違法・非法・合法・不法・無法・立法・慣習法・国際法」
V儀式のやりかた。礼儀。しきたりであるしかた。「そんな口をきく法があるか」「法にかなった身のこなし」「作法・礼法・法式」

 術士という称号は、軍隊に存在する攻撃的魔法を使用する者の称号である。
「法」と「術士」合わせて『法術士』
 法術士という存在は、「法律(国)に従い、法律(国)を守る為に存在する術士」という意味があり、法術士には神の御心を所有する義務は無く、ただ法律(国)を侵害する存在に対し魔法という名の武力を要求される。
 よって、黒魔法内の『地水火風の現象を使い特定の物体を破壊する』という部分は、純粋に攻撃・破壊を求められる法術士の為の魔法となったので『法術』と名づけられたのだ。



僧侶系と術士系
 戦士系と剣士系が剣士・騎士、闘士・戦士と分かれるように、これら二つの称号も分かれたわけではない。
 なぜなら、この二つの称号は根本的に『全く同じ』なのである。
 考えてみれば、生命を癒す存在である僧侶系の、しかも上級職の僧正ガンタンクRはブリティス「最大」の魔法使いとして、回復系は元より攻撃系の上級魔法を難なく駆使している。
 逆に、攻撃を主体とする術士系の一つ、法術士である法術士F90ジュニアは傷ついた仲間達を魔法で回復させている。

 つまり、回復を主とする僧侶系でも攻撃魔法が仕え、攻撃を主とする術士系でも回復魔法が使えるのだ。
 もしも、僧侶系を習得するのに必要な神の教えを省いた場合、回復魔法を主体とした魔法使い『白魔術士』となる。
 そもそも僧侶系とは、神の教えと同時に、一般社会において教会・宗教などの儀式や祭典(結婚式、豊作を祝う祭り等)に神たる十二神の代行者として取り仕切るので、信仰者に「奇跡」と称される現象(傷を治したり、毒蛇に噛まれた者を解毒する等)を行う際に回復系の方が都合が良いのだ。(破壊神を崇める者もいるが、その場合でも聖職者は必要。魔神官・邪導士となるが)
 破壊神信仰者でない限り、原則的に神職者は攻撃魔法は生命を脅かし自然の理を否定する事として禁じ、回復魔法は人々の平穏の為に必要であり、選ばれた者、神の御心を信じ、修行によって神に近づいた神職者が神に変わり市民を守る。というのが定義である。
 その為、本来術士系の一つである「白魔術士」は、回復魔法以外に神道を習得しなければならず、しかも徹底的な組織化により、白魔術は「僧侶系」という一つの基礎称号となり、術士系としての白魔道士は廃れてしまったのだ。
 しかし、空をモンスターが飛び交い、地面をモンスターが徘徊し、水の中でモンスターが旅人を待ち構えるこの時世、僧侶系もある程度の攻撃魔法を会得し、術士系も回復魔法を習得しなければ生き残れない。
 よって、神の御心という存在を排除した場合、回復魔法・攻撃魔法、呪術、召喚魔法などは、魔道の基礎を習得した者ならば、全て会得できる。(神霊魔法だけは、神を理解しなければ難しいが)
 だからといって全てを会得する事は容易ではない。
 これら全ての魔法に通じ、上級魔法を習得した、膨大な魔力を保持した者が存在する。
 それが、「魔道士」
 魔道士というのは、僧侶系の導士でも、術士系の魔術士でもない。魔法の基礎・応用・実技を完全に会得し、魔法に関するありとあらゆる知識のエキスパートである。
 一般的なサーガの悪の魔道士はこのような存在が悪の道に走ったのである。(魔道士以外だと、会得した術と反する術、あるいは自分よりも強い魔力を持つ同じ術士にやられてしまう。魔道士なら、一方の呪文は弱くても、残った呪文が強ければ勝つ)
 そして、これら魔道士を更に凌駕するのが「大魔術士」。僧侶系・術士系全てを総合した称号である。賢者と称しても良いのだが、外伝世界で賢者は「知識を修めし者」で魔法は使えなくてもよいので除外する。
 力と技が称号保持者の力量と仕官している立場によって左右されているのに対し、魔法は単に「何を習得しているか」によって名称が違うだけの、ある意味実力主義な称号である。