腹へった
 飯つくれ
轟轟戦隊ボウケンジャー
08.3/14発行
形式/COPY 価格/\300
厚さ/2ミリ 重量/50グラム
ページ数/P48 


◆ネガティブシンジケート四番手、大いなる獣レイと怒りの鬼神ガイによるエロティックハードギャグコメディ(何だそれは)
 猫科の彼らの日常生活と、人間に対する障害は何なのかを半分くらい真面目に書いた。怒りの鬼神がお玉片手にエプロンつけて、肝心の獣は始終通してわがままぷー(某マ王参照)
 参考物件に猫の飼育DVDを見まくりました。発情って難しい
 大いに乱れるレイ様と仕方なく付き合わされるガイが見ものかと

あらすじ
 逃亡生活から×××年。色々あってガイは、昔馴染みのレイを見つけて一緒に隠れる(暮らす)事となる。
 その頃、サージェス本部では、監視者たるボウケンシルバー、高岳映士から重大な事実が皆に伝えられる。

「アシュの弱点。それは……食い合わせだ」

 人間の食い物には必ずある、人工化合物。アシュには、これらに対するアレルギーの割合が、人間より多かったのだ!
 だものでガイは、毎朝毎晩レイの為に、アレルギーの問題がない食事を作らねばならないのだ!
 ガイは慌てる。何故なら昔、ヒョウガはメタミドホ●を食べまくって大変だったからだ。
 
 今、アシュの台所に未曾有うの危機が迫る!
 
サンプル

「単細胞!下衆!止めろ!」
「今更抜けるか!」
 ガイももはや余裕は無い。体の中で滾る熱が一点に集中し、目の前の【餌】を食べつくすまで収まりはしない。
遠慮も何もかも捨てて切り刻む勢いは凄まじく、戯れに優しくしてみせれば、裏切り、甲高い悲鳴がレイの口から発せられる。
「う゛あ゛…あ゛」
内側から腹を突き上げる感覚。動くこともままならず、指先を強くベットに食い込ませ、衝撃を耐えようと身構えるだけが精一杯。
戦いの痛みならば、今までに何度も耐えた事がある。しかし、まったく経験した事の無い感覚が全身を襲う。
「ふっ、ぅっ……ん」
 痛みに耐えかねてベッドに顔を押し付けた。肩の傷がシーツに触れて血が滴り、鮮やかな赤が広まる。
内側から体の底を突き上げる度に、体が緊張し痛みが広まる。これ以上からだが傷つかないように、体内からは透明な分泌液が滲み出て、強張った肉は突き上げによって叩き解され、受け入れようと媚を売ろうとしていた。
「レーイ?」
 心地よい低音の声が、優しく耳を擽る。

サンプル

 ゴードム文明とやらは、どういう原理だか知らないが、金属に自己再生能力でもつけているらしい。元の肉体をベースに再構築した新しい体は、痛覚もあるし、生身らしき部分もある。
 見た事無いが腹を掻っ捌けば歯車があるだろうし、色はどうだかわからないが血も出る筈。肉を食えば消化されるので、ひっかかれた腫れた頬も、冷やしていれば何時か元に戻るのである。
 引き裂かれたカーテン、ひび割れた蛍光灯。粉々に砕け散った鉢植えに割れまくった食器類、穴の開いた床、切り傷だらけの壁、綿がはみ出たクッション。
 廊下から移動したリビングは、原型が残っているのが奇跡なほどに見るも無残にしっちゃかめっちゃかだ。視者防止に部屋の壁や窓に結界をはったので貫通はかろうじて免れている。音は、多分漏れていない。
 散々たる様子見せる家具の隙間で、ガイは腹の底からドスを効かせて叫んだ。
「てめぇ、何食いやがったっ」
 体中いたる所に切り傷爪痕噛み痕が痛々しい。目の前のドラ猫は普段の冷静さを欠いている為か、肉弾戦のみで近代火器系統を使用しなかったのがせめてもの幸い。
 公平を期して、あるいは相手の傷を最小限にとどめる為に、ガイも素手で立ち向かった。血の近い同族同士(猫科のアシュ)、半殺しにしてでも止めるのがせめてもの情けである。
「あれ程、俺がっ」
 近くにあったテーブルを掴みあげ、標的目掛けて投げつける。
「俺の料理以外食うなっつーたろがぁぁ!」
 叫ぶと共に十数キロのテーブルが軽々と宙を飛ぶ。普通は命中すると病院送りになりかねないが、当たった所で人外相手なら横面ひっぱ叩かれる程度。
 それでもあたってたまるかとよければ散乱していた床の上から一斉に塵があがり、レイは倒れた家財の隙間を踏みしめて、相手がいる方角目掛け回し蹴りを放った。
「だはぁっ」
 首筋にヒット!そのままよろけて破壊した食器棚の上に倒れこむ。硝子棚と陶器がけたたましく鳴り、あたり一面埃が舞う。
「いぃーーかげんにしやがぁれぇっ」

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「アシュの生態?」
 サージェススタジアム内・サロン兼待機室。色気のない誘い文句に、聞き耳を立てていた真澄は小さくふいた。
 明石と蒼太はいない。現在、アザディスタンに出張中。残っているのはいわゆる待機組だった。
 中央テーブルで雑誌を読んでいた映士は見るからに不機嫌な顔となるが、相手がこれっぽちも嫌味と敵意が存在しない事を熟知しているので、コンマ数秒だけ睨み付けるにとどめておく。
「今までのネガティブとは、行動理念や範囲が異なっていますので、データなどが大きく不足しています。以前から、こうして貴方と話をしたいと思いまして」
「するな。つか、何今更聞くんだよ」
「説明したとおりです」
「だからな…」
 ばりぼり、頭をかきながらセロリを齧る。今までに確保したプレシャスやその他の文献にアシュの記述が無い以上、映士だけが情報源なのは仕方ない。いっそ、一から末まで聞きたい(問い詰めたい)と、牧野さんやMs.ボイスも言っている。
「あ、それ菜月も聞きたい聞きたい」
 真澄の隣でリリアン編みをしていた菜月が毛糸を持ったまま片手をぶんぶん回す。
「クエスターも、可愛いぬいぐるみとか好き?ご飯は何を食べてるの?」
 無邪気な黄色い姫さんは、悪意の欠片の粉末すらない疑問ポーズで映士の周りをくるくる跳ねる。
 文句を言う毒っ気を根こそぎ抜かれ映士は掠れた笑いを浮かべると、椅子の上でふんぞり返った。
「しかたねぇ。そんだけ知りたいってんなら、この俺様が特別に教えてやるぜ」
「わーい♪」