きいろいどうけ
中巻・U/《ACE・OF・A・KIND》
七幕
昔々、ゴジラ予報と言う物があったそうだ
八幕 Aigis
九幕
プレアデス
十幕 電光石火の博打打ち
形式/COPY 価格/\300
厚さ=8ミリ
重量=200g
ページ数=P176
アクセル・ワールド  デュエルアバター小説
14.8/17発行


 レギオンを設立する際、《クリプト・コズミック・サーカス》は幾つかの公約を掲げていた。
 二次産業によるポイント補給と循環、次世代バーストリンカーの育成、緊急事態における非常備蓄、低レベルが安心して狩りが行える狩り場の提供etc。
 しかし、ある事情によりその中の一つを破棄せざるを得ない状況へと追い込まれてしまう。
 レギオン設立の最大理由にして最優先事項、それは台東区の全域確保。故に、台東区以外のエリアへ進出せず防衛のみに心血を注ぎ、維持する事。


「レギオン特権の広域共有による防衛ラインを展開します。まずは一時方向の足立・荒川の白紙化を解除し、通常対戦を確保するのです」

 台東区以外の領土獲得を行わない。それは《中央エリア》の干渉を拒否すると同時、広域所有による防衛力低下を阻止する意味を持つ。
 だが…


「お前なのか、ドレイク」

《生き残り》達は かつての記憶(《トワイライト・メモリー》)に苦しむ。愛する者と共に加速した日々と、拭いきれない悲しみの最後を。


「レギオンとして仲良く出来ないのなら、あたしは一人で勝手にするわ!」

《妖精郷》の戦い(《フェアリー・ワルツ》)で伝説が生まれる。それは未来と無限の可能性を秘めて。


「これより会議を執り行う」

《中央エリア》と《過疎エリア》
 繋がり途絶えた子供達が再び手を取る日が来た。
《赤》《青》《黄》《緑》《紫》 (《ファィブ・カラー》)

 誰が、誰と手を取るのか
 誰が、誰を突き放すのか
 誰が、誰を選ぶのか


「我は、マスターの愛するレギオンを守りたい」 

最後の一枚(《エース・オブ・ア・カインド》)を選ぶ時、彼は(《ラスト・カラー》)何を思うのか。





「この話はBLじゃなかったのか?」
 とりあえずそーです。

 アクセル本四冊目です
 次回予告について壮大な悩みが在るのでここでのコメントが困ります

 グランデ以外の新しい攻候補が出てきますが
 レッド・ライダーが彼女と別れフラグ立ててます
 ブルー・ナイトが暴走してブレード姉妹に殴られてます
 パープル・ソーンが彼氏捨てかねないですが
 ロータス出て来ていませんが
 レディオ受けです、ええ一応

こちらにピクシブでのサンプルページを記載します
双方を見てお楽しみ下さい
http://www.pixiv.net/member_illust.php?mode=medium&illust_id=45534444




あらすじ

「愛している、お嫁に来て!」
 ブレード姉妹の拳がブルー・ナイトの後頭部に叩きこまれる。
「何処の誰、こんな物を受注したのは!」
 パープル・ソーンは叫ぶ。そして砂糖を入れ忘れた。
「どっから持ってきたぁぁぁ!」
 レッド・ライダーの叫びはみんなの叫び。



 イエロー・レディオの為、引き籠り生活を止めたグリーン・グランデ。その大胆な行動に周りは付いて行けず、しかも禁断のカオスが再び登場する。
 そんな彼らを他所に、イエロー・レディオは仲間と一緒にエリアを領土所有可能状態に戻すべく奮闘中。
 だがしかし、だがしかし!

「お久しぶりです」

 来て欲しく無い人がやってきた。
 お願いだから、頼むから、静かに平穏な生活送らせてくれと願ってもそうは周りが許さない。




サンプル 第七幕

 何処かで鳥が鳴いている。手を止めて窓を見ると、木漏れ日が揺れている事に気が付いた。
 青い色と黄色い小鳥が一羽ずつ、枝から伸びる太い葉の上でチチチ、ピピヒと鳴いていた。その時の揺れが頬に掛る影を動かし、コバルト・ブレードは無意識の内にマンガン・ブレードの胸元へ体を寄せている。
 眠りに付く彼女達はベッドの上で一枚のシーツを一緒に使っていた。肩などの装備を外して、初めは背中合わせだったのに、眠りが深くなるにつれて寝がえりを打ち、今は向かい合わせで両手を顔の前で握る左右対称の姿。
「可愛い」
 ブルー・ナイトは乱れたシーツを掛け直すと、起こさない様にマンガン・ブレードの頬に口を触れた。
「今日もありがとうね」
 今度はコバルト・ブレードの頬に触れる。
 ブルー・ナイトは彼女達が起きない様、足音を殺して机に戻る。書きかけの紙を整理して、新たな紙にインクを走らせた。
「よお」
 鳥では無い声が背後から。ブルー・ナイトは立てかけてあった剣を取らず、振り向き様に立ちあがった。
「ライダー!」
 ドアに寄りかかったままテンガロンハットに人差し指を当てる何時ものポーズ。変わらない姿にブルー・ナイトは足音の気遣いを忘れて抱きついた。
「良かった、無事だったんだね!」
「おう、この通りピンピンだぜ」
 そのテンガロンハット、レッド・ライダーはブルー・ナイトの体を抱き返し、頭を撫でた。
「会いたかった…ライダー」
「俺もだ、泣き虫」
 すぐ傍にある、角の根元に口が小さく融合。ブルー・ナイトは何度も目を点滅させ、回す背に力を込める。
「《プロミネンス》の皆は元気?」
「ん、元気だぜ。今日も午後からクエストだ」
「そっ……か」
 不意に、寂しい声で顔を埋める。
「………あのね、ライダー、僕ね」
 レッド・ライダーの口元がブレスにこつん。
「言うな」
「ふぇ……」
 抱かれたまま小刻みに震える青い体、耳を澄ませば声がする。
「今は地元に居るのが一番なんだ。耐えろ」
「ちが、違うよ」
 ぐしぐしと。
「何も、出来ないの。《剣聖》(ヴァン・キッシュ)とか言われても一人で何も出来ないの。帰ってった子に何も言えなかった、残った子にだってレギマスだからと守られてばっかで、僕だけ、お荷物……」
「……」
 ぽんぽんと背中をあやす。
「解ってるだけ上等だ。後先考えない馬鹿がつっこんで、暴走して、潰れて右往左往する余所なんざ珍しくねぇ。お前はちゃんと出来る事をやっているのを解ってるさ」
 レッド・ライダーは額を寄せ、ブレスの奥の瞳と視線を合わせて笑顔の声。
「ナイト、あいつら起こすと悪いから隣の部屋へ行って茶でも飲もう。そしたら菓子代わりに面白い話をしてやるよ。良い話か悪い話かそこは後から判断してくれ」
サンプル 第九幕

「貴殿の言いは当然だろう。我は一度たりとも己が《オリジネーター》であると名乗った覚えが無い。我がログインした時、世界は混迷の始まりにすらならず、今では定説と呼ばれる事情に名などは存在しなかった。故に何者かと問われれば、一介のバーストリンカーであるとしか言い様が無い」
 アイアン・パウンドがそんなっ、と小さく悲鳴を上げる。中央も意外な切り返しにどよめきが走った。黄も小さく肩を動かす。
「されど時は勝手に過ぎる物であり、得し物に名を付けるが人の常。今の時代、第一世代を《オリジネーター》と指すのであれば確かに該当するのであろうな。何しろ我の《親》はエイプリル・フールに紛れ、勝手にソフトを送り付けた以降の接触が無い」
 立ち上がったグリーン・グランデは机を迂回して中央へ足を進むと一枚のカードを取り出した。
「その際、ソフトには説明書が付属していた。一切の説明無く放り出された世界だったが、これのお蔭である程度は把握でき、何とかなった。《適正チェック表》と異なり次の世代に受け継がれ無かったがな」
 何度か設定するとそれは光の粒子となり、会議場の中心で光の球となる。
「知っている者もいるだろう。《ブレイン・バースト取扱説明書》、オリジナル付属の補助アプリだ」
 数秒後、光球が弾けた。




パンッッッッ




 突如鳴り響いた爆発音に驚いた者が多数、転がり落ちた者有り、武器を握る者有り、平然とする者有り。

〔〔うえるかむつーー!〕〕
〔あくせらー!〕
〔れいでっどー!〕
〔〔わーるどぉぉーー!〕〕


 パンッ パパパンッ!
 立体映像の紙吹雪が辺りへ舞い、元気な子供の声と共にバーストリンカーに近い姿をした白基準のNPCが現れる。

〔よいこのみんなこんにちわ!ぼくはおにいちゃんのえーるくんだよ!〕
〔ぼくはおとうとのあーるくんでっす!〕
〔きょうははじめてかそくするきみのため、ぼくたちきょうだいがなびげーとするね!〕
〔まずは、しりたいこうもくをえらんでね!〕


 空間の中で一枚のプレートが浮かび上がる。やがて表面に浮彫が現れ選択画面が現れた、ひらがなで。
「……説明は全て『小学校一年生』が理解出来る内容となっている。我らは昔、導(しるべ)として通常対戦フィールド、そして無制限中立フィールドへ降り立った。これがお前の言う証拠の事だろう」
「うん、そーだね」
 くるくると回る懐かしい双子達を見ながらブルー・ナイトが微笑む。
「久しぶりに見たなぁ」
「………」
 レッド・ライダーが顔を横に向いて俯き、口元に手を当てる。
「か、可愛い」
 ラブリー好きの面々が語尾にハートマークを付けた。