きいろいどうけ
中巻・U/《FAIRY・WALTZ》
六幕
ファィブ・カラー
形式/COPY 価格/\300
厚さ=8ミリ
重量=
ページ数=前半・後半
アクセル・ワールド  デュエルアバター小説
14.4/25発行

 ピクシブ発表分初のデュエルアバターオンリー小説、の続きそのA。
 やっとグランデがレディオにキスをした。気を失う彼を抱いてビルの影で泣く子を慰める。。
 コミック採用バーストリンカーの一人、キャロット・マタドールがイケメンとして登場(加速的に)。皆の前で愛してると言いました。
 レッド・ライダーまさかの参戦、お前彼女どーすんだ!!
  

 バスや遊園地で小学生料金が適応されるバーストリンカー、なのに中身と外見がアンバランス。
 愛に恋に悩みに責任。日常生活を送る上で避けて通れない様々な事柄に、時に襲うトラブルに、多分割り算習っていない子供達はどう対応して行くのか?
 究極のカオス到来にさあどうする?



 この本はBLです。BLを書いている筈なんです。そして@・A・Bの説明文は本編内容について一切間違った事は書いておりません。途中経過がどうであれBLになります最終的に。
 信じて下さい。

こちらにピクシブでのサンプルページを記載します
双方を見てお楽しみ下さい
http://www.pixiv.net/member_illust.php?
mode=medium&illust_id=43095526


 そして工業用ホチキスの限界を超えましたので二分割とさせて頂きました。二つ揃って一冊ですのでどうかご理解下さい。


あらすじ

 レッド・ライダーは苦悩する。
 ブルー・ナイトは軽く鬱になる。
 イエロー・レディオは仕方が無いのでバイトを雇った。
 パープル・ソーンはアルバイトを引き受けた。
 グリーン・グランデは引き籠り生活を諦めた。

 めんどくさい奴が現れた、そいつの所為でどんだけ苦労したと思ってるんだと皆が思う。


「こーなったら仕方が無い」

《赤》《青》《緑》《黄》《紫》
 本人達の事情は隅に追いやれ、《色相の純粋色》全員集合に周りは興奮するのだった。





サンプル

 ざわっ!
 会議場にいた中央エリアのレギオンマスター達はコバルト・ブレードを凝視した。
「来たか!」
 マンガン・ブレードが先に入る。どうぞ、と促され、入ってきたのは二人のバーストリンカーだった。
 先端に真珠の様な玉飾りが付く、左右後方へ緩やかに伸びる角帽子。バルーン状の両肩と腰回りは細身の体を一層引き立たせ、伸ばせば身長よりもある両腕・両足。それらは作りかけた人形の骨組みで、手と分類される大きさは異様さを隠しきれない。
 この世に数えるには両の指足らぬ同系色。その中で最も色鮮やかな《黄》が、意図の汲めぬ仮面を皆の前に晒す。
 そして。
 神の奇跡か戯れか、自然界ではあり得ぬ純度を誇る宝石を極限まで美しく切り揃えた四肢。繋ぎ合わせは黒の肌、煌びやかな装いを細くしなやかな肉体で纏い、重厚なる威厳と軽装なる動き、相反する二物を一度に身に受けた者は誰の目に映る時も優しさを思わずにいられない。
 この世に数えるには両の指足らぬ同系色。その中で最も色鮮やかな《緑》が、そよ風の様に暗雲立ち込める場を癒す。
「待っていたよ、二人共」
 背後から数人がやってきた。ブルー・ナイトは笑顔の中に緊張を宿した声で言う。



「マスター!一体何の事ですか!」
 姉妹が倒れたままのブルー・ナイトに駆け寄り、情報を求める。
 レッド・ライダーは辺りを見回した。右に待機マーカーと《レオニーズ》三人、左に待機マーカー、正面はバーストリンカーとその応戦相手達。
 イエロー・レディオの姿が無い。
「レディオ!」
 背後を見た。自分から見て左側の建物の瓦礫の側でうずくまる特徴的な角帽子。
 視界に入ったと同時に駆けだした。落下時に出来た瓦礫の山、その上部分が崩れ落ちようとしていたから。
「うおぉぉぉぉーーー!」
 左右のガンベルトに現れた拳銃。瞬きの間に引き抜き、構え、弾丸を一度に発射した。今まさに頭上へと落ちようとした一番大きな塊が破壊される。しかし、全ての落下は止まらない。
 レッド・ライダーは弾倉を開き薬莢を捨てる。同時に両腕の装甲が開いて新規の銃弾を携えた装填装置が現れ、同じく収納されていたアームに導かれてシリンダーに装着された。
 この間、四秒が経過。再銃撃が可能になったのは、今まさに瓦礫が覆い被さろうとした時だった。
「だああああーーーー!」
 イエロー・レディオを囲むよう、アーチ状に撃ち続け覆い被さるのを遅らせた。先に右のシリンダーが空になる。レッド・ライダーは左が切れる前に銃を捨てて右手を伸ばし、片腕を掴み引きずり出した。
 間一髪、完全に埋もれる前に助け出せたが長い片足だけが間に合わない。レッド・ライダーは再装填した銃で二回分打ち続けようやく助け出す。
 銃撃の振動で新しい崩壊が促された。抱き抱え、離脱する。投げ捨てた銃が崩落の中に消えていった。
「ヘリオス…」
 分身に等しい銃の名を呟いて、レッド・ライダーは近くの路地へ駆け込んだ。



 足を進める度、振動が強くなる。びりびりと唸る波動がより体へ伝わり、否が応でも思いだす。
「……」
 走りながら呟くシュヴァインフルト・マーキース。突風が足元から舞い、体へ光が纏わり出す。
 一歩一歩踏みしめる度、吹き出す風が持ってきたのは《原生林》でもお目にかかる事の無い芽吹いたばかりの鮮やかな若葉。足すら腰、胸元へと吹き続けながらシュヴァインフルト・マーキースの体へ纏い続ける風は光の粒子を供にして、細身の体を覆い隠す重厚な鎧と形を変える。
 原型すらも止めぬ風貌唯一の意図は、宝石の様に美しい事。
 最後に顔へ風が吹き、V字型の飾りを持つ兜と仮面が装着された。
 長い路地の先に開けた空間が見える。その場所で《赤》の足を掴み放り投げようとする者を見るや大地を蹴り、勢いそのままに強烈な飛び蹴りを脇腹目掛け叩き込んだ。
「はぃっ?」
 助けようと斬りかかりかけたブルー・ナイトが素っ頓狂な声を上げる。シュヴァインフルト・マーキース改めグリーン・グランデは、釣られて吹っ飛びかけたレッド・ライダーの手を取り、ブレード姉妹付近の人だかりに投げ捨てる。
「あーーー!」
 状況を無視して、レッド・ライダーを助けた相手に指を刺す。
「《緑》!」
 グリーン・グランデの小さな舌打ちは、誰にも聞こえなかった。
「あ、あんた、グリーン・グランデ」
「………」
 姉妹がキャッチして起き上がるレッド・ライダー。ブルー・ナイトはバーストリンカーを追い、グリーン・グランデは無言のまま、三人の傍に寄る。


「メンバー・セレクト!」
 シルバーグレイ・チェインが腕を上げた。
「《イエロー・サーカス》スタンバイ!」
 ざわっ 六つのカラー全てが震えた。イエロー、つまり黄の事なのだろうが、現時点でその名のレギオンが確認された事は無い。
 新たな過疎エリアのレギオンか、誰もが思った時、乱入者が現れた。
 路地の影、屋根の上。路地や《プロミネンス》が陣取るビルから離れた場所の窓から次々とバーストリンカーが現れる。その数十八…

 ドゴォォォォン!
 
 空から灼熱色の塊が落ちて来た。高温を封じ込める鋼の体、白銀の髪を棚引かせ、燻るハンマーを地面に撃ち立てる。
 数秒遅れ、上空から女を抱いた暗殺者が降りて来た。
「何が起きた!?」
 どよめく中央。
 シルバーグレイ・チェインを筆頭に、
 カーディナル・ギア
 ロッソコルサ・ローター
 ルージュ・ロータリー
 クラウド・クラウド
 セルリアン・ベアー
 フォッグ・スレイブニル
 ミッドナイト・ソリッド
 スノウ・ロビン
 エメラルド・アトモスフィア
 ホーリー・ヘッジ
 ザッファー・フィン
 スチール・スチーム
 クリソプレーズ・アダーガ
 グロー・ブルート
 プラント・ルーラー
 ミルキィ・ゴースト・ダブル
 チャコール・ベトン
 ガンメタル・スミス
 ハンター・ライオット
 ダーク・アサシン
「GO!」
 腕が振り下ろされる。二十一人のバーストリンカーが一斉に駆け出し、意図を持って散会した。
「ローター!」
 シルバーグレイ・チェインがアンカーを発射。一直線に伸びた鎖の上をロッソコルサ・ローターが飛び乗り、自重で落下するよりも前に滑りこむ。
「《フルヒート・ギア》!」
 鎖を指針として強烈な跳び蹴りを叩きこむ。剣の腹で受け止めるが、全ての衝撃を受け流す事は出来ず動きが止まる。
 ガンメタル・スミスが数人纏めて撃ち出す。
「《スクリュー・カット》!」
「《ハイスピード・ラッシュ》!」
 スノウ・ロビンとスチール・スチームが同時に技を繰り出した。一度地面に足を付ける事で急加速を付けたチール・スチームの拳が先に到達、横面に食い込み、スノウ・ロビンが一点に力を込め右足を抉る。
「《ハイスピード・プロジェクション》!」
 スタール・スチームは腕からアイテムを射出、顔に当てると煙幕が発生、三人は一度に離脱する。
 煙を切り裂きイエロー・レディオの爪が振り降ろされる。防ぎきれずに指と同じ筋だけ傷を与えた。
 フォッグ・スレイプニイルとチャコール・ベトン、グロー・プルートが第二射に続く。フォッグ・スレイプニイルは空気の足場を作り戦場に散らした。
「《スロウダン・ギアーズ》」
 少し離れた場所でカーディナル・ギアが関与し足場を空中で固定。目に見えぬ、しかしパーティー設定で仲間に見える宙の足場を使い、近接メンバーが多角的な跳躍で攻撃。
 作戦の要は二人、気付かない筈が無い。
「……そうはさせない」
「あっかんべー!」 
 ハンター・ライオットが包帯で動きを制限し、ザッファー・フィンが地中から飛び出して腕や足を掴み二人への攻撃を妨げた。
 チャコール・ベトンは放射線状に壁を作り続け、視界から仲間達を切り離した。排除に時間を取られる合間にイエロー・レディオは壁の隙間を潜り抜けて攻撃し、反撃時は上空に逃れ壁の向こうへ消える。
 徒歩で駆けつけたシルバーグレイ・チェインが腕からブレードを取り出して飛びかかる。
 第三射で駆けつけたルージュ・ロータリーとクリソプレーズ・アダーガが加わる事で、射出した面々による近接戦が開始された。
「咲くぞおめーら!」
 射出組・後方支援組の更に向こうで植物が生えていた。身の丈以上で膨らむ多数の蕾、薄く綻ぶとぱぁんと音を立てて種、もとい、無数の武器がバラバラ落ちて来る。
 ダーク・アサシン、ミッドナイト・ソリッド、ミルキィ・ゴースト・ダブル、エメラルド・アトモスフィア、ホーリー・ヘッジが武器の中からライフルタイプを選んで散る。
「クラウド!」
「任せろルーラ!」
 クラウド・クラウドはイメージする。各自が持つ、プラント・ルーラーの創造した銃の弾倉を。
「《トレース・クラウド》」
 体の中から無数の霧が立ち上り、五人の元まで届く。彼らはチャコール・ベトンのゲージが消失した事で発生しなくなった壁から抜け出た彼の腕や足、脇腹を目掛け、地面や屋根などあらゆる場から狙う。
 弾倉は勢い良く消費し続け、何時までも尽きる事は無かった。
《トレース・クラウド》、それは武器を生成する能力。カード化による永続性は無く、幾度か使用すれば元の霧に返る。非常に使所が難しい力なのだが、使い捨てる武器を生成する分には壮絶なる威力を発揮した。
 特に、可能な限り霧の密度を高めた小さな物ならば。
「うっ、わ」
 赤が一人残らず羨望した。弾込め時間の短縮は最大の悲願、なんとそれが皆無。
「うちに欲しい!」
 状況を忘れ、心が一つに。