◆常識を超えた一作。GGG竜姉妹の本 「昔々ある所におじいさんとおばあさんが…」とはよく聞きますが 「それはそれはつい最近、あるところに…」というフレーズで始まる本は中々無い。勇者王ガオガイガー、竜の姉妹による同人誌製作風景から始まる異色の一冊 半ノンフィクション・リアルタイムもネタにする最大の見所は、勇者面々による何か間違った白雪姫と、プレイボーイなドライアス様です あらすじ 「ねぇねぇ闇竜?今箱舟にいるメンバーでさぁ、襲ったり出来るの誰かいたっけ?」 Gリキッドを加工したポッキー型燃料を口に銜え、パソコンとグラフィックボードを扱い、口に出せないイラストを書く姉の光竜。 「無難な所でターボランダーさんとジェットセイバーさんとかは?」 「あ、それパス。飛んで逃げられる」 「それもそうですね」 普段は下ろすバイザーをあげ、キーボードを操りながらすさまじい内容を書いていく妹の闇竜。本人が聞いたならば、青筋立てて怒り出す台詞をさらりと受け流す。 それはそれはつい最近、ある所に仲の良い姉妹が住んでおりました。 お姉さんの名前は光竜。ピンクパールのはいった白いパワーショベルから変形する、明るく元気で怒ると背中のメーザー砲で狙い撃ちをするちょっとお茶目な女の子。 妹さんの名前は闇竜。やや紫がかった黒のダンプカーから変形する、知的で冷静で怒ると背中から大量のミサイルを相手めがけて乱射する天然ぼけの眼鏡っ子。 二人はちょっとだけ元の設計とは変更して作られ、とりあえず普通に起動して、異常事態の中姉妹力合わせて奮闘し、実家の主戦力として立派に成長いたしました。 今では、日本と中国で生まれたお兄さん達と一緒に、バルドーとかいう人達から地球を守る為に毎日がんばっています。しかし、そんな姉妹には、人には言えない、大事な秘密があったのでした。 |
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■其の壱「気がつけばなんとやら」 BP-500X型『カゲロウ』。彼は後継機たるBP-501型シャドウ丸のプロトタイプである。ただ一人の【完成品】の為に【作られた】存在である彼は、己の存在へと疑問を抱く。 「あだー、うーーー」 出来上がったその【後継機】に、思考は瞬く間に停止した。 ▼サンプル 「シャドウちゃーん」 「あどぅだー」 たかいたかーい、べろべろばー 手馴れた手つきでドリルボーイは、元気な赤ん坊をご機嫌にしていた。きゃっきゃっきゃっきゃ手足をばたつかせ、楽しそうに笑っている。 「いい子だねー、可愛いねー。今日は何して遊ぼうか」 「こら、仕事中だぞ」 哺乳瓶にオイルをいれながら、騒ぐ後輩にマクレーンは叱咤。目元は心なしかきつくなっている。 「やだなー、遊ぶのもし・ご・と。でないと元気に大きく育たないよ」 「育たなくていい」 ぶつくさいいながら、切れかかる自分を根性で押さえつつ、腕の中のガンマックスに哺乳瓶を差し出した。 「あー」 握りこぶしよりも小さく開いた手で、あうあうと呻きながら、掴もうと手を伸ばす。 「あー」 届かない。 「あ゛ーーー」 泣いた。 「あ゛ーーー」 「泣くな泣くな泣くなーーっ」 片腕にすっぽりと納まる後輩に、もはや育児に疲れた母の顔で、マクレーンは口元まで運んでやった。 「んー」 哺乳瓶に手を添えて、ちうちう吸い付くガンマックス。隣でシャドウ丸が、いい子いい子と頭を撫でている。 「もう……嫌」 がっくりと肩を落とし、マクレーンは本日何度目かの嘆きを口にする。 |
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■其の弐「何か違うぞ白雪姫」 昔々ある国に、一人の美しい姫がおりました。本当は双子の姉姫がいたのですが、彼女が出奔してしまったので姫といえばこの人しかおりません。名を白雪と申します。 姫は優しい両親と逞しい姉と、城の人達に愛されて、すくすくと元気に育ちました。さて、そんなある日。城で母と暮らす姫は、中庭で植物の手入れをしていた時に耳も疑う言葉を実母から聞かされます。 「おまえもそろそろ年頃。しかるべき血筋の婿をってどこにいく」 その日の内に、姫は顔なじみの狩人と料理番に別れを告げて(ついでに食料漁って)出て行きました。行くあてはありません、ただ、どうしても城から出て行きたかったのです。 「女扱いやめりゃあ王位でも何でも継いでやらぁ!」 王女様は実は、 王子様だったのです。 合唱(チーン) 主なキャスト ■やさぐれている白雪姫=シャドウ丸 ■天下無敵の女王様=セブンチェンジャー ■出奔した姉姫=カゲロウ ■被害者な狩人=ガンマックス ■常識人の料理番=ガードファィヤー ■七人の大男= ダイノガイスト ドライアス ランドバイソン ガ・オーン ペガサスセイバー ビクティム キャプテンシャーク ▼サンプル1 「雪のように白い君の首に巻かれたのは、まるで運命の糸の用だ」 帰ってくるなり腕を取り、甲に口付ける相手にシャドウ丸はひきつった笑いを浮かべました。 社交辞令とわかっていても、このナンパ男は毎回歯の浮く台詞を欠かしません。慣れているのか、周りの同僚はそれぞれ無視して自室に篭るなり、変形してくつろいでいました。 「今朝方、貴方の変形体を見させて頂きました。雪のように白い頬、黒炭の様な黒い鼻先、血の様に赤い爪。見事な四肢で優雅に大地を駆け、鋭い爪先で獲物を刈る仕草。天は二物を与えぬと言うが。まさしく、貴方は狩りの女神の映し世の姿」 「旦那、こいつ何とかしてくれ」 無言でダイノガイストはドライアスの頭をぶん殴り、隣の部屋へと引きずっていきました。 「あの人いつもあんな調子なんですかい?」 「愛と酔狂に生きる伊達男だからな。仕事は真面目だが、女性への態度は言わなくてもわかるだろう」 水分が蒸発し結晶化した塩のまとわり付く髪を手櫛でとかしながら、ビクティムが淡々と述べる。 ▼サンプル2 ガンマックスは頭を抱えました。ガードファイヤーはかすれた声で笑いました。 性別を転換する薬を持つ魔女の身内を探し出し、薬をもってくるようにと、副業料理人、本職・王国諜報員のガードファイヤーは部下に命令しました。 しかし、本人を連れて来いと言った覚えはありません。 「しかもよりによっててめぇかぁぁぁっ」 青筋立てて、同僚のガンマックスは叫びます。 「拙者を探していたのはそなただろうが」 悩める相手を一瞥し、背中に翼が生えた黄金忍者は、偉そうに腕を組みました。 「人探しと指示された場所に行けば、どうという事はない、実家ではないか。とんだ無駄足でござった」 「早く言え、そんな事」 「拙者に任務の理由を伏せたそちらが悪かろう。家に戻り、姉上と共に書き記した書状を見た時は、笑われてしまったわ」 「じじいはどうした。人魚を人間にした魔女の血筋のばあさんってのは何処だっ」 「老体とは失礼な。姉上の、愛くるしい兎のどこが老婆でござろうか」 「白い悪魔の間違いだろうが、ありゃ」 記憶の中のその人は、姉というには若すぎて、年の離れた妹でしか説明のつかない相手。ガンマックスとガードファイヤーと、そしてこの空影は、父方の曽祖父が一緒なので、親同士が子供の頃から何かと交流がございました。 幼い頃、わんぱく盛りのガードファイヤーが、よちよち歩きのガンマックスと遊んでいた時に、大きな兎の人形が花壇の縁にちょこんと座っていて、何だろうと二人して遠くから見つめていると、それが突然動き出し、ニンジンが沢山入った籠を持ったまま、側の木を蹴りつけると、何処からとも無く取り出した金色のピコピコハンマーを振り回し、襲い来る蜂を一匹残らず叩きつけ、甘い蜜がたっぷり詰まっているであろう巣を楽しげに籠に入れ帰っていく様は、幼心に恐怖を植え付けるに十分でした。 |
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