盟約・契約・通常呪文と魔法陣の因果関係

【七曜万象に宿りしマナよ、翼の騎士との盟約によりその力を我に示せ
 超魔法・ヴァイオレットトルネード】


 この一文を知る者は、これがなんであるかご存知のことかと思われる。
 これは、SDガンダムフォースに出てくる、ラクロアの騎士・ゼロの使う魔法の、発動する直前に唱える呪文である。
 では次にこの一説を目にしていただきたい。

黄昏よりも暗き者 血の流れより赤き者
時の流れに埋もれし 偉大なる汝の名において
我 ここに闇に誓わん
我らの前に立ちふさがりし 全てのおろかなる者に
我と汝が力持て 等しく滅びを与えんことを


 竜・滅・破



 こちらは小説「スレイヤーズ」にて、主人公リナ=インバースが黒魔法「ドラグスレイブ」を放つ直前に唱える呪文である。

 さて、この度の解説は「呪文 盟約・契約・通常呪文と魔法人の因果関係」となっている。これは古今あらゆるジャンルでの魔法に対応し解説である事を述べさせていただこう。
 例題としてあげられている各作品の呪文などは、あくまで教材としての使用の為、元となる作品を閲覧していない方でもわかるように努力はしています。
 が、参考文献とし、多少の題材となる作品の知識が必要となる場合があり、その点はご指摘・提案などのご協力いただけるよう、お願い申し上げます。
呪文の意味する言葉  混沌の言葉(カオス・ワーズ)
 では、そもそも『呪文』とは何なのか?
 古今我々が【魔法】と呼ぶ代物とは、人の目の見えぬ何かの力を借りた超次元現象を示している。その「目の見えぬ何か」は各作品により微妙に異なるが、大抵は以下の通り。

 自然界(通称・地の四元素)
 火 
 土
 水
 風

 天空界(別名・天の二元素)
 光
 闇

 自然界を統べる存在(精霊界)
 火の精霊
 大地の精霊
 水の精霊
 風の精霊

 全てを統べる存在
 神


 これらが、魔法の原動力となる力の源である。魔法にも、黒魔法・白魔法・精霊魔法など沢山の種類が存在するが、それらは皆上記の力を授かるか、異なる力同士を融合して作られている。例えば、空に虹をかける魔法をかけようとする場合、光が大気中の水分と屈折しておきる現象が虹なので、光と水の力を使いう。空に稲妻を走らせようとすれば、これは大地と風の原子同士をぶつけ合う。
 白魔法の中の回復魔法。これは属性として地上の動物や人といった生命達は「地」に位置する。生命体が生まれながらにして持つ新陳代謝を高め、または大気中から生命力を分け与えられて傷をなおす。回復魔法は別名白魔法と呼ばれているが、実際は地の精霊魔法の一部といって過言ではない。


 七曜とは占星術の用語の一つで、旧約聖書で神は6日かけて天地を創造し、7日目に休息したといわれる七日間を表している。
 占星術が作られた当時に存在が知られていた火星(マルス)や木星(ジュピター)の5つの惑星など七つの天体から起こったものと考えられ、占星術では、これらを周期を持って連続性を持たせ、現在の「日」、「月」、「火」、「水」、「木」、「金」、「土」の順も占星術から起こったものである。
 占星術が作られた当初、地動説が唱えられ、地球を軸に周囲を太陽や月やその他の星々が巡っていると考えられていました。太陽と月は神の星であり、それ以外の星々は定められた場所を巡り続けているのだと。
 ところが、中に、それらの法則とは合わない動きをする星々がありました。水星・金星・火星・木星・土星の五星です。(この頃はまだ、天・冥・海の惑星は発見されていません)

 これらの星は煌きが他の星より瞬かず、決められた軌道を巡らず、時には惑い歩き、時には足踏みをしました。人々は、これらの五つの惑星(まどいぼし)も、太陽や月と同じように、神の意思を受けた特別な星なのだと考えました。そこで、それぞれの星を神になぞらえて その名で呼び、これら神の星の動きによって神意を測り、地上の様々な事象や人の運命を読み解くことができると信じたのです。
占星術では週の第一日と第二日が「太陽の日」「月の日」で、残りの第三日から第七日まではゲルマン神話の神の名前に由来しいる(土曜日のみローマ神話の神)

 神々はそれぞれ自らの属性に見合った支配惑星を持つと考えられており

戦いの神、軍神[ティーウ Tiw =マルス]の火曜日
魔術の神、ウォドン(オーディン) woden =マーキュリー]の水曜日
雷の神、トール Thor =ジュピター]の木曜日
美と性愛の女神、フリッグ(フレイア) Frigg =ヴィーナス]の金曜日
豊穣・再生の神、サトゥルヌス Saturn の土曜日

日曜日というのは「光り輝く太陽星の日」という意味なので太陽を表します。
月曜日の月は、太陽の巫女や神託者を意味するのです。

 魔術界では、これら七曜を「神々の定める七つの理」と解釈し、魔術における七元素

 自然界たる地の四元素
 天空界たる天の二元素

 そして、それら全てを統括する「」の存在を含めた七種の力の存在と同一視されています。
 大抵では火・土・水・風・光・影の六種をさして言う場合が多々ですが、以前述べた神々の視点におけるスダ・ドアカの戦いを参照いたしますと、反発しあう属性同士が均等の数であれば、対衝突ばかりをおこし、結果として悪い方向へと向いてしまいます。
 ここに、どちらにも属さない、だがどちらとも統括・バランスを整える存在が必要不可欠となる。
 つまり「神」
 
 『郷にはいれば郷に従え』という諺がある。たとえば、日本人がアメリカにいったならば、英語を話し、アメリカ人が日本に来たなら日本語を話せという意味として使われている。(無論それだけではないが)
 人の世とは違う神々の世界でも同様。神にも神の言葉があるのだ。
 カオス・ワーズやマジックスペルなどと呼ばれる魔法語の存在。誰だって、頼まれたりするのなら、自分のわかる言葉で話しかけて欲しいもの。古今いろんな神様がいれば、すんでいる地方によっては方言があれば使用する言語がちがう(広島弁と沖縄弁のような違いだと思って欲しい)



 呪という文字は【まじない】とよむ。まじない言葉=人にあらざるものと会話する言葉。【呪文】とは力の源へ対して【お願い】をし、叶えてもらう為の言葉なのだ。



 では、呪文は発音するその言葉にどのような意味があるのか?【竜滅破】を引用し簡略化した翻訳で説明したいと思う。
 


黄昏よりも暗き者 血の流れより赤き者

 真名(本名)ではなく通称(「名前」というものは、「その人の全てを指す世界でただひとつの言葉」を意味して入る為、それを防ぐために本名とは違う通り名をつける事)で呼ぶ事で、言葉による力の暴走を避け(むやみに発音すると、言葉自体の持つ魔力の影響が起きるからだ)

時の流れに埋もれし 偉大なる汝の名において
 「いやぁ、貴方は素晴らしい。流石は〜〜」とかなんとかほめちぎっている

我 ここに闇に誓わん
 「ついでといっちゃあ何ですが実はお願いがあるのです」 話を持ちかけようとする

我らの前に立ちふさがりし 全てのおろかなる者に
 「あいつらを」 ターゲットロックオン

我と汝が力持て 等しく滅びを与えんことを
 「私が魂の器を媒介とし、貴方の力で滅ぼしたいのです」狙いを定めて・・

竜・滅・破
  力ある言葉を放つことで、力を具現化する。


 目に見えぬ力とは、我々の住む物質界の、すぐそばの森の中や川の水に漂い、紙一重でありながら触れる事、交わる事が容易でない別次元で存在している。
 目に見えない、しかし存在する。呪文とはそのような存在に対して語りかけ、願い、自分自身の魂をゲート(中継点)として力を具現化する方法なのだ。
契約とは
 通常社会でもよく使われますが、契約を結ぶということは、双方の間で何らかの「交換条件」が交される事を意味しています。
 会社につとめ、お給料をもらうのも契約ですし、宝石を七つ集めて願い事をかなえてもらうのも契約であり、一部「等価交換」と同じ状況のものもありますが、契約の最大のポイントは、必ずしも互いに交わす内容が対等の立場でないということです。
 細かく分類すれば、『基本称号』で述べた

 白魔法・精霊魔法・召喚魔法・神霊魔法とは、大自然の気、精霊の力、善神の力など、善に位置する者達の力を借りた魔法。
 黒魔法は悪神の力を借りた魔法
 邪術は、悪神の力を使う神霊魔法
 呪術は、相手の精神を支配する白魔法のアンチテーゼ(原点は一緒だが、それを別の視点での見方をした場合)
 召喚魔法(精霊魔法含む)は、ある特定の存在を現実世界に呼び出す。(精霊魔法と召喚魔法は本来同一の魔法だが、対象となる存在が大自然の精霊と異次元や魔界といった存在なので蔑視されている)



 上記の各呪文分野において方法は様々ですが、では契約とはどういう場合なのか・・・簡単な一文を書いてみましょう


 人間 「私はこの国の王になる事が望みだ。そのために力をかしてくれ」
 力  「よかろう。ではそなたの赤子を差し出せ」
 人間 「なんだとっ」
 力  「赤子を七十七にわけ、それらを我とわが一族七十七人が手にしよう。さすれば、七十七の力がそなたを加護するであろう」



 術者は力を借りる代価として子供をさしだした。 怨霊は協力する報酬として赤子を求めた。これが契約です。
 契約は双方が対面しないとできません。ここがポイント。
 たとえ呼び出しに成功しても、契約するべき対象の気分に沿わないと意味がなく。なので、術者はその気にさせるため、相手に有利な、自分には不利な条件を提示するしかない。
 それが自分の命だったり、身内だったり愛する人であったり・・・
 これが契約なのです。

 では盟約とは?
 盟約を結ぶには、ある一定の『条件』が必要不可欠となります。
 たとえば、盟約を結ぼうとする精霊に属する下位精霊を、普通の精霊魔法でよく使役しているなどの『より密接に関わっている・精霊達に顔なじみ』であるなど。
 魔法使いの実力以外にも、さまざまな形で盟約を結ぶ事は出来得ます。例えば、ご先祖様が偉大な精霊や魔族を使役していた場合、その子孫はその身に流れる血統によってその存在と盟約を(或いは使役を)結べるかもしれません。
 わかりやすく例えて出しますと、精霊が意志を持つ存在として物質界に在る為にはさまざまな制限やルールがあります。それらを熟知し精霊を駆使するのが精霊使い。
 素質、というものもありますが、特殊なアイテムやキーワード(真名)などによって、力量不足であっても盟約を結べる、という事態は考えられます。
 ただし、いずれの場合でも最低条件として精霊の言葉が話せる事、これは絶対の必須条件です。(混沌の言葉(カオス・ワーズ)の事)
 精霊使いであるゼロ自身は、七曜の中でも最高位たる【神】の理の力を持つラクロアの精霊の樹から生れ落ちた存在なので、精霊達の盟約条件にあっさりと当てはまりました。


 盟約の際、精霊と盟約者は真名を交換します。真名とは、盟約者が生まれた時に付けられた本当の名前のことで、魔術師にとっては命に等しい霊力を秘めていたと考えられています。

 リナ・インバースの魔法解説で

 「名前」というものは、「その人の全てを指す世界でただひとつの言葉」を意味して入る為、それを防ぐために本名とは違う通り名をつける事)で呼ぶ事で、言葉による力の暴走を避ける。


 と述べた。これは術者が一方的にお願いをしているからであって、盟約を結んでいる同士は友好関係的立場である以上、真名を教えあうとは、一蓮托生な部分が存在している。
 ゼロ自身の真名はわかりませんが、詠唱の際いちいち述べていては名前を言っただけで勝手に契約している精霊の力がこぼれてしまう為、【翼の騎士】というカモフラージュ言葉が詠唱に組み込まれているのです。
魔法補佐@ 魔法陣
 直訳するとMagic-camp。通称はMagic-door。そのものずばり、門。
 呼び出しに成功しても、力の源となる存在のエネルギーが術者の住む次元へ行かなくてはどうしようもありません。相手側の世界と物質界をつなぐゲート。これが魔法陣なのです。
 ここで例題に挙げるのは、SDガンダムフォースの翼の騎士ゼロ嵐の騎士トールギス闇の騎士デスサイズ。彼らはそれぞれ呪文を発動する場合に固有の魔法陣が浮かび上がります。
 魔法陣の大きさは一般的に、巨大な物ほど強大な効果が現れ、小さな物ほど少ない魔力で発動しています。それは、魔法陣にかかれている紋章が「呪文」と同等の役割をしている為です。
 呪文を言葉でなく模様に変換して書いた物と考えて頂けたら幸いです。
 もっとも、術者の魔力要領が強大な場合、見かけは小さくても効果は巨大という場合がありますが。
 陣の模様とは、言わば空間の歪みです。例えに六芒星を出します。
 
 六芒星は世界各地で共通の紋章として広く親しまれています。
 。正三角形と逆三角形を重ね合わせたこの形は「霊体と肉体の結合」や「火と水の結合」などを象徴しており、強力な護符としての機能を持つとされています。それは日本の陰陽道など、各国で意味は様々ですが、基本の理念は全て同一のものです

 有名な「ソロモンの指輪」に登場するソロモン王は、六芒星を刻んだ指輪を使い、魔界に存在するという七十二人の魔王を従えていたと言われ、他にもピタゴラスの六芒星とも言い、天空に存在する諸力の制御の鍵であとも言われます。
 各頂点が中心たる生命の樹と対応し、頂点から時計回りに、土星、木星、金星、月、水星、火星、そして中央が太陽に対応する。六芒星はまた、上向きの三角形(能動的原理)と下向きの三角形(受動的原理)の組み合わさった姿であり、調和、融合を指し示しています。
 錬金術では万物の原理を示す七つの部分=七つの金属の設計図として使われています。向きの違う二つの三角形を重ねた形は、二種が相互浸透しあい統合、統一を表す姿であり。魔術では術師が呼び出す時、呼び出し他存在を操るために、全ての対象に効果的なソロモンの印章を描きます。
 六つの角には、物質界と天空界を構成する六元素、六角形の中央、全ての元素が交わる中央部分に神の名を刻印します。


 言葉が魔力を持つ様に、魔力ある模様もまたを持ちます。ただ、言葉という、意思ある者が願いを書けるのではなく、魔法陣は次元に「書く」事で相手に意味を汲み取ってもらう手紙なのです。
 手紙は書くだけでは相手の手元に渡りません。送らなくてはいけません。
 巨大魔法陣として知られる中でも強大の部類と呼ばれる空間転移呪文用魔法陣=移動呪文は、その模様一つ一つに「どこそこの次元の、なんという都市のどういう所と次元ルート結びたい」という意味を持つ呪文がびっしり細やかに模様として書かれています。 理屈的にホームページやパソコンプログラムを作る時などに使われる機械言語(C言語) と同じです。
 魔法陣によっては、機械言語(C言語)の当てはまる模様の一部に空欄があり、術師の技量で任意な場所を特定する事ができます。
 翼の騎士ゼロやリリジマーナ・ミヤ・ド・ラクロア、デスサイズが使う魔法陣はこの部類です。

 呪文は対象となる力の源と一対一で向き合い直接話し合いますが、魔法陣は手紙ですので、模様さえちゃんと書いていれば失敗する確率がありません。模様を間違えたり、郵便屋である術者の魔力技量が足りなかった場合は、別の人の所に手紙が行き予想外の者が召喚されたり、反動で自身の命を落とすというなら話は別ですが (模様の意味が食い違い、相手を怒らせてしまったり【私を殺して】という意味に書いてしまったりなど)
 一般人でも、ごく小さい模様ならいざしらず、六芒星や五芒星など単純な模様で、かつ大自然における気の流れを意味するベーシック魔法陣(魔法陣模様の基礎の形)ならば、描くだけでその大きさに比例した魔力を帯びることがある。
 ナスカの地上絵のように、デカければ目に止まるだろう方法です。
 翼の騎士ゼロや嵐の騎士トールギスの魔法陣も彼等各自が盟約なり契約を結んでいる為にあの大きさなのであって、盟約を交わしていなければ、さらに巨大なものであったでしょう。
 対象となる力の存在と術視野の力量にもよりますが、空からタライを落とす場合、力の源達へ「タライ」という物の元素配列から、その大きさ・重さ・形・落下ポイント等を魔法陣の模様として書き込まなくてはなりません。
 ですが、術者に力があった場合「この位の大きさのたらいを落としたい」と思考するだけで発動しますので魔法陣は小さくてすむわけです。
 もっとも、盟約・契約を結んでいる場合は契約用の魔法陣が自動的に書かれますので、それ以上の大きさという事になりましょう。これを仮に基礎魔法陣と呼びます。
 事実、ゼロの描く魔法陣には神々の言葉がきざまれている。
 その形状からルーン文字などを連想させますが、あくまでソラ・ジオラーマ世界の言葉ですので正確な翻訳は不可能ではありますが、光と闇の神獣が封印されている状況から、魔法陣の中央に書かれている四種の文字はラクロア城を守るとされている四神獣の名でしょう。

 魔法陣の内容は、より力の強い者ほど小さく書く事ができる。無論魔力の対象となる力の「住んでいる場所」にもよるのだが

翼の騎士 ゼロ
嵐の騎士 トールギス
闇の騎士 デスサイズ


 この三名は、それぞれが自身に必要となる存在と盟約・契約を執り行っている為、各自の魔法陣模様が異なります。
 ゼロの魔法陣は、複数の輪が重なり合い巨大な円球を作り上げるタイプと、複数の輪が横に広がり円を書く二種類。
 トールギスの魔法陣は大小異なった形をしており、ゼロと違い縦回転しません。かわりに平行をたもったまま回ります。横回転です。書かれる文字はゼロと同様。ただし、トールギスの魔法陣は魔法陣同士が重なっています。

 この魔法陣でわかるのは、トールギスの魔法陣は対象となるマナの力をかき集め、ゼロの魔法陣はマナを借りて集めるのがわかります。これは、それぞれのもつ魔力の技術・構造の違いです。
 また、ゼロとトールギスでは、トールギスの魔法陣の方が強力であると見て取れます。
 ゼロ・トールギス・メリクリウス・ヴァイエイトのもつ飛行能力は、各自契約精霊の力の一部です。トールギス登場初期の彼の飛行シーンがあります。この時の高度は明らかに通常時のゼロよりも上です。これは、メリクリウス・ヴァイエイトの飛行能力も同じです。次元の狭間での維持能力を見てお分かりになられると思います(維持できなければ、延々と落ちていくしかない) 双子の場合はトールギスと同じく闇の精霊と契約・盟約しているか二人分の魔力を上乗せした合体魔法です。
 つまり、その分純粋な魔力という観点ならば、ゼロの方が下なのです。



 ゼロ自身の基礎契約魔法陣は中央に鎮座されています。その回りの回転する魔法陣はいわゆる増幅魔法ブースターマジックにあたる役割で、それぞれの円から借りるべきマナの力を集め、中央の魔法陣に凝縮・排出しています。
 ゼロ自身は魔法使いの分類では「精霊術師」に当てはまります。翼の騎士ゼロ、炎の武人爆熱丸の住む世界ソラジオラーマでは、七曜のうち二曜が封印され、一曜は消息不明です。

 光の七曜・フェザードラゴン
 闇の七曜・スティールドラゴン
 神の七曜・スペリオルドラゴン

 ジュネラルの正体や精霊の樹の発生など、未だ判明されない事柄が多い為にはっきりとした事は申し上げられませんが、過去において闇の七曜・スティールドラゴンが封印され、神同士の対衝突を避けるため、闇と対なす光の七曜・フェザードラゴンもまた封印されました。
 スペリオルドラゴンの封印はされていない様ですが、一般文献からはその名が消えています。
 残されたのは火・土・水・風の四曜、グリフォン、ユニコーン、フェニックス、ヨルムンガンド。通称ラクロア四神獣。名称から判断すれば、ユニコーンは一角を煎じれば如何なる病をも癒す馬・フェニックスは炎の翼を持つ鳥・ヨルムンガルドは大地の奥に住まう巨大な蛇と言われ、それぞれの属性は、癒しを齎す水ユニコーン、再生と破壊を司る火フェニックス、不動なる大地ヨルムンガルドと見ておかしくないでしょう。
 消去法でグリフォンは自由なる風、風属性の精霊達の長となります。
 長が封印された為、全体的に弱体化した光・闇の魔法は魔法陣の書き方や呪文の発動がより複雑に困難となり、魔術師達は解明しやすい火・土・水・風のマナを研究していったので、ラクロアでは四曜の魔道技術が発達。
 ラクロア王の娘リリジマーナ・ミヤ・ド・ラクロア、五賢人、精霊の卵を守っていたドア・コア・ノアの三つ子が似た形式の魔法陣を使用していたのもこの為です。
 彼等の基礎魔法陣は神を示す文字が四つなのが何よりの証拠です。




 なお付け加えておきますが、ソラジオラーマ世界での神獣とスダ・ドアカワールドの十二神は存在が異なっています。
 解説【神々の視点におけるスダ・ドアカの戦い】で述べましたとおり、スダ・ドアカワールドの十二神はそのものずばり神であり、(主神を第一位とし、第二位が十神、第三位がスペリオルドラゴンと暗黒卿) 神々の配下である精霊王(第四位か五位くらい)が精霊達を束ねています。
 神や天使は巨大な力を持ちますが、均衡の為数が制限されます。
 精霊は基本的に数の上限が無く、魔界で言う上級悪魔や下級悪魔、使い魔など数万とも数億といわれる存在と同じで、わかりやすく言うと兵士です。
 精霊王はそれらを束ねる長、騎士団の団長または中間管理職といった位置にいます。天使達は王国騎士または親衛隊といった所です。

 ソラジオラーマ世界で精霊の長は神獣といわれ、頂点にスペリオルドラゴンを置いています。
 【迷宮のラクロア】でゼロは精霊と魔法は別物と言っていました。
 しかし、精霊と魔法が別物となると、巨大魔法無力結界地域であるダークホールで魔法が使えない説明が成立しません。
 魔法の原動力は精霊達の力を借り受けた存在の為、精霊魔法の使い手であるゼロの魔法が使えないならば、精霊グリフォンの力もまた使えません。
 グリフォンは精霊でなく神獣と呼ばれています。つまりスティールドラゴン、フェザードラゴン、スペリオルドラゴンを加えた七神獣は元々、精霊ではなく「神」であるのか、または「神」の存在の化身である確率が高いのです。
 ダークホールが巨大魔法無力結界地域なのは、呪文や魔法陣で力の対象から「力を借りる為のお願い」が届かないからだと推測できます。
 精霊は全て【力を借りる存在】なので、術師が既に精霊と直接契約又は盟約を結んでいれば力を発動できる様子。
 しかし、ダークホールは安易に脱出が出来るという描写は無く、中堅所程度の精霊クラスの契約では打ち破れないでしょう。
 魔法が使えない、精霊との契約では脱出が出来ない。残るは精霊よりも上位の力を借りるしかない。
 残る存在は【神】となるのです。



 トールギスは名称が「嵐の騎士」と呼ばれる為、ゼロと同じ風の性質を持ち、元々は同様の契約を行っていたと思われます。
 トールギスの魔法陣は渦潮の原理。渦を作り大気中のマナを集めます。
 彼の基礎魔法陣は八角形で垂直・水平回転。球体にはなりません。むしろなれません。
 この魔法陣は闇の魔法陣と呼ばれ、空間を操る事ができます。余談ですが光の魔法結界という代物もあります。その場合魔法陣は闇の魔法結界と鏡写し。
 魔力にもバランスが存在し、光の対極は闇、火→水→地→風→火→水→地→…と対になっています。生命体を一つの魔力の器と考え、トールギス自身は本来ならばゼロと同じ四曜からなる円バランスでした。
 ここに、四曜の契約を存続したまま、闇のマナそして神獣グリフォンと契約した場合、一つの属性の最大値を10と見た場合、火・土・水・闇が5。光が0で風が10という計算になります。
 これはグリフォンが風の最高位である為、最大値10となり、火・土・水・闇は神獣でない他の精霊と契約を結び、光とは一切かかわっていないと計算できます。
 そうすると、体内の円バランスが崩れ現在の形になっています。
 グリフォンは闇の性質を持つ風の最高位であるので、闇の性質を持つ魔法陣の円バランスに悪影響はありません。


 なお、グリフォンよりも位の高いフェザードラゴン。非合法とはいえトールギスはちゃんと契約を結んでいたわけですが、ゼロの場合、封印されし光の神獣フェザードラゴンの幼生体【フェイ】の保護者をやっていました。
 動物でいう刷り込み方式により、フェザードラゴンは自分の意思でゼロに力を貸しているだけです。ゼロ単体ではフェザードラゴンを操れません。
 よって、フェイ合体時でもゼロの魔法陣は火・土・水・風が5。光と闇は0。 フェイは契約をしていない為、ゼロの魔力バランスには無関係です。そこにパワーアップとしてフェンが登場します。ウィングゼロ時にヴァトラスソード(契約魔法剣)が登場しないのはこの為です。


 最後にデスサイズ。ゼロが円、トールギスが横なら彼はシンメトリー、つまり左右対称。
 デスサイズ自身は「古代魔法の使い手」と賞していたが、その古代魔法というのは、封印された七曜、純然たる闇魔法の数々です。
 スティールドラゴン封印の最、当時に培われていた闇魔法はほぼ全て王家の谷に集められたようで、いくらトールギス、または過去に存在したであろう封印後に登場した闇の魔導師達がダークネスマナと契約をしたとしても、所詮彼等自身には詳しい闇魔法への知識はなく、トールギスも風のグリフォンの力を応用して不完全な闇魔法を用いていたにすぎない。
 しかし、デスサイズは闇への理解を十分に研究・修行した為に、封印されしスティールドラゴンを自力復活させ、かつ契約を正式な手段でもって召還獣とした。
 冒頭で六芒星を例題にあげたが、他にも五芒星と逆五芒星というのがある。
 六芒星は魔道の見方でいうと「安定した力の流れ」つまり均衡を意味するのは述べたとおり。逆五芒星はアンバランスで自然を逆らう力の流れ。五芒星は逆五芒星を打ち破る破邪を目的とした効果がある。
 デスサイズの魔法陣は、六芒星の「安定した力の流れ」を妨害する逆五芒星をうちけす破邪の五芒星を魔法陣として描いている。
安定した力の流れした力の流れ」の魔法陣が、ゼロのもつ四曜の魔法陣。「自然に逆らう力の流れ」の魔法陣が、トールギスが最初持っていたであろう、火・土・水・闇が5、光が0で風が10というバランスの欠けた魔法陣。
 デスサイズは、混沌の言葉を正しく組み合わせる闇を頂点とした五芒星を作り上げ自身の力とした。トールギスよりも、ゼロよりもより均整のとれた魔力を己の力としたので、あのような魔法陣になった。


 我々の住む物質界領域ゼロとします。
 物質界には風の精霊や大地の精霊、小妖精が存在し、彼等を呼び出そうとする時は、「物質界のどこそこ(炎の聖地)に住んでいらっしゃる、炎の精霊ファイアーウォルテ」と簡単な文面で呼び出せます。
 これが、精霊界魔界至高界など、術者の住まう次元から遠く離れる場所に存在する物ほど、魔法陣や呪文で読む言葉が長くなる。

「物質界に存在するリシェントロタ山脈の麓の左から七番目の山の河口から、西南東の方角にあるメラトリュテリュース草原の南東の祠から繋がる炎の精霊の世界リシェントより南方八千フィートはなれた場所に位置するメラニュート山林の中央の欅から左に数えて八千七百二十一本目の杉の木の根元の地脈より…」と、力の存在の住む場所と通り道を書かねばならない。
 物質界で具現化する力を失った太古の神、引退してどこか遠い次元に隠居暮らししている存在を呼び出す為、超巨大魔法陣を書くなど、次元が遠いほど、所在を示す魔法陣の模様は複雑になり、わずか間違えるだけで別の物を呼び出してしまう。
 これを凝縮できるというのは、対象となる力と契約を結んでいるのか、魔力が巨大なので呼び出す力の持ち主を顎で使える大魔法使いかのどちらかなのです。

 中には、力の存在たる神や精霊が術師に惚れたという話も実在する。(ゼロとフェザードラゴンのような関係だ)
魔法補佐A 印
 手話です。
 印の基本的な意味は魔法陣と同様です。魔法陣を簡略化したのが印と思ってください。魔法陣は必要な呪文を模様にした為に携帯性や一度書けば同じ呪文を続けて発動する事ができます。
 ですが、自身の指で書くので模様、つまり力の存在に対しての手話はその種類も長さも限られてきます。
 それを補う為に呪文も一緒に唱えるのですが、印で魔法を唱えるという事は、術師の魔力が通常の魔術師よりも強大な事を意味します。 さらに強大となると、言葉は使わず指の動きだけで魔法を発動できます。
魔法補佐B 魔道道具
 魔法陣の代用や、属性を介し威力を高める増幅器として使います。
 大抵の魔法使いは「」というものをもっています。魔法陣を指輪や護符といった身に纏う衣服につけた魔道護符など。
 それら道具に共通するのは、各要所に特殊な宝石を埋め込んだ物や、混沌の言葉を特殊繊維の糸でカオスワーズを縫いこむなど様々です。
 宝石は地に属している物質ですが(地面から作られる為)。その内部にさまざまな元素のもつ力を凝縮し、密度を高めればそれ自体が魔力増幅器としての役割をもっています。太陽の光をレンズに集めることで火をつけるのと同じレンズ効果です。また、杖自体は術者から伝わる魔力の流れを「宝石」へより効率的に行き届かせる用に魔道的見地に基づき設計されています。
 また、生命体は「大地」に属する生命体である事から、宝石の元から持つ地の性質と共鳴し力を増幅され、宝石に書かれた魔法陣によって魔法を発動するのです。
 魔道護符は杖とは別に、バンダナや肩当てなど、その効果は防衛面・防御面におかれています。
 持っているだけで、水や火の魔法に体制がついたり、術者の魔力を媒介に、小規模な結界を常に張り巡らせたりするのが魔道護符の最大の特徴です。また、護符や宝石などに属性を付属し、それらを普通の武器・防具に装備することで簡易的・一時的な効果をもたらす事ができます。
魔法補佐C 聖地・属性ポイント
 チャクラなど、人の体にエネルギーが溜まるポイントがあるように、魔道もまた力が集まる箇所があります。そのような場所を、聖地や属性ポイントと言うのです。
 属性に合った魔法を使うと威力が倍増します。逆の意味で、回りが極寒の大地では炎の魔法は威力が半減しますが、氷の魔法は威力が増します。砂漠では水分が不足しているので水魔法の威力が殺がれますが、何もさえぎる事のない砂漠では常に風が吹き荒れ、魔法を唱えれば地理的特徴により砂嵐が起きます。
 大地や空には地脈大気の流れといったエネルギーの本流があり、エネルギーポイントとなった地域では周辺の地域は属性が活性化する為に反する属性の者は近寄れなくなります。これはその場の精霊達の力が活性化されている為、その分のエネルギーが上乗せされるからです。
 魔術規模や知名度かどうであれ、そのような地域を人は聖域と呼び、敬いまたは恐れます。教会や神殿で回復魔法が多く使われるのも、その場所が何らかの聖地であるのが理由の一つですし、地脈などを調べ、エネルギーポイントに城や要塞を構えるのもまた、魔道的理に適っています。
 ほかにも、通常より力を持った地の精霊や、賢者・聖者と呼ばれる人物の魔力を帯びた物を置く事で、その物体自体が魔法陣の役割をし、簡易的なエネルギーポイントになります。それらは神像や宝珠と呼ばれ、魔道道具よりもさらに強力な物として扱われます。

 このように、それぞれの属性が発動する時に【条件のよい場所】なのです。